投資家の心理的節目として押さえよう

FX(外国為替証拠金取引)のローソク足チャートを分析していくと、ある一定の為替レートで上昇が跳ね返されたり、下落が跳ね返されたりしていることに気がつきます。

一般的に「節目」と呼ばれているラインです。

上昇傾向の場合、このラインを「上値抵抗線」または「レジスタンスライン」と呼んでいます。レジスタンスラインまでは堅調なのですが、ここに到達すると反発して下落します。再び上昇してきても、やはりこのラインで反発してしまいます。

これは多くの投資家がこの節目に売り注文を入れているためです。ですからレジスタンスラインまで上昇すると、途端に反発するのです。節目は、投資家心理を反映していると考えていいでしょう。

逆に下落傾向の場合、この反発するラインのことを「下値支持線」または「サポートライン」と呼びます。軟調に推移していても、ここに到達すると反発して上昇し、また下落してきてもサポートラインで反発します。

レジスタンスラインと同様に、ここが節目になっており、多くの投資家の買い注文が入っているためです。

このレンジを把握しておけば、レンジ相場の場合、逆張りで利益を積み上げていくことが可能です。

ただし「ブレイク」という現象が発生した場合は、逆張りをしていると危険です。速やかに損切りし、順張りに切り替えていきましょう。ブレイクというのは、反発してきた節目のラインを突破した状態です。レジスタンスラインを上抜け、サポートラインを下抜けしたことをいいます。

レンジ相場が終わり、トレンド相場に突入したのです。上抜けした場合は強い上昇トレンドが、下抜けした場合は強い下落トレンドが生まれたことになります。この時、今まではレジスタンスラインだった節目がサポートラインとなり、逆にサポートラインだった場合は節目がレジスタンスラインになる傾向があります。

逆張りしているとどんどん含み損が増えていくことになりますので、注意が必要です。また、このトレンドに乗ることができれば利益を大きく伸ばしていくことができます。

FXで勝つためには、この「転換期」はとても重要なポイントです。

上昇と下落のシグナルの見つけ方

トレンドが発生する傾向としては、ローソク足チャートの高値を結んだラインと、安値を結んだラインがどんどん近づいていき、交わっていく場合が挙げられます。これを「保ち合い型」と呼びます。レジスタンスラインとサポートラインが重なるような状況です。

どちらの方向にブレイクするかはわかりません。ただ、大きな成果を出すことのできるエントリーチャンスが近づいてきている可能性は高いといえるでしょう。大きくブレイクする傾向にありますから、上抜けしたら買い、下抜けしたら売りを仕掛けていくのが理想的です。

ただし、1分足チャートや5分足チャートといった超短期チャートの場合は、「ダマシ」となる危険性も高いので、必ず日足チャートは確認しておくべきです。

また、上昇や下落トレンドの見極め方としては、「ダブルトップ」や「ダブルボトム」があります。

ダブルトップは「M」の軌跡を描き、二度レジスタンスラインで反発してから、サポートラインを下抜けすると大きく下落するというものです。

ダブルボトムは「W」の軌跡を描き、二度サポートラインで反発してから、レジスタンスラインを上抜けすると大きく上昇します。

相場が天井をつけた時に現れるのが、「トリプルトップ」(ヘッド&ショルダーまたは三尊天井とも呼びます)です。この場合、ブレイクしても一時的に上昇してきますので、そこで再度売りを仕掛けるチャンスがきます。節目で大きく反発して大きな下落トレンドになるからです。

相場が大底をつけた時に現れるのが、「トリプルダウン」(逆三尊とも呼ばれます)です。三度サポートラインで反発した後、大きな上昇トレンドが発生する傾向があります。

トリプルトップ、トリプルダウン共に、レジスタンスラインが強いサポートラインとなり、サポートラインが強いレジスタンスラインとなります。かなり意識される節目になると考えていいでしょう。

2017年から2018年の米ドル/日本円(USD/JPY)で確認してみよう

それでは実際の為替相場でレジスタンスライン、サポートラインについて確認していきましょう。

米ドル/日本円(USD/JPY)の日足チャートでは、2017年12月から2018年1月にかけて「トリプルヘッド」が発生しています。この時のサポートラインは1米ドル112円、レジスタンスラインは113円70銭ほどでした。

レジスタンスラインに三度跳ね返され、1月10日には、112円のサポートラインをブレイクし、下抜けします。すると下落トレンドとなり、3月23日の1米ドル104円60銭まで急落していきました。

3月28日以降は強い上昇トレンドが発生するのですが、この時、相場は3月に入ってから「保ち合い型」になっていました。そして3月28日に上抜けし、大きくブレイクしたのです。

3月23日の104円60銭を底にして、5月21日には111円39銭まで上昇しています。その後は109円10銭あたりが強いサポートラインとなり、米ドル/日本円(USD/JPY)は年末まで堅調に推移していくことになります。

ただし12月17日現時点では、また11月下旬から「保ち合い型」になっており、収束していく値動きになっていますので、今後、再び大きなトレンドが発生する可能性が高いです。上抜けした場合は、天井となっている114円50銭をブレイクしていくかもしれませんし、下抜けした場合は底の109円10銭をブレイクしていくかもしれません。

もちろんテクニカル分析ですべて万全に予測できるわけではありませんので、ファンダメンタルズ要素も充分に考慮して今後の方針を決めていくのがいいでしょう。特に貿易戦争に端を発したアメリカと中国の対立は目が離せません。両国が歩み合っていくようだとリスクオンで上昇トレンドの可能性が高まりますし、両国がさらに溝を深めるようだとリスクオフで下落トレンドとなる可能性もあるのです。ファンダメンタルズ分析もバランス良く活用していってください。