ローソク足チャートの特徴

テクニカル分析に使用されるチャートには、折れ線グラフもありますが、多くのツールで採り入れているのは「ローソク足チャート」(キャンドルチャート)です。一定期間の為替の動きを1本の棒状の記号で表しています。

1日の「始値」、「終値」、「高値」、「安値」といった4つの価格を1本のローソク足で示しているのが「日足」です。デイトレードやスイングトレードで参考にされます。

スキャルピングであれば、1本のローソク足が1分ごとの値動きを表している「1分足」や、5分ごとの値動きを表している「5分足」のチャートが主に用いられます。最新の相場の流れを把握するためです。逆に長期のトレンドを確認する場合は、「週足」、「月足」といったチャートを参考にする必要があるでしょう。

ローソク足の太い部分は、「柱」または「胴体」と呼ばれています。始値よりも終値が高い場合は、赤や白で表され「陽線」と呼ばれます。終値が始値を下回った場合は、黒や青、または緑などで表され「陰線」と呼ばれます。色は取引会社のツールによって異なります。

柱から上下に線が伸びているローソク足もあります。この線のことを「ヒゲ」と呼び、上にヒゲが伸びている陽線は終値が高値を下回ったことを表していますし、陰線の場合は始値を上回る高値をつけたことを表しています。下にヒゲが伸びている陽線は始値を下回る安値をつけたことを表していますし、陰線の場合は終値が安値を上回ったことを表しています。

ヒゲの状態で上ブレなのか、下ブレなのかも確認できるようになっているのです。ちなみに柱もヒゲと同様に線で表されている場合は、始値と終値が同じことを表しています。一般的には「十字線」と呼ばれています。

上昇、下落のシグナルとは?

ローソク足の足型によって上昇や下落を予想していくことができます。

陽線で下ヒゲが長い状態を「陽の丸坊主」、「陽の大引け坊主」、「下影陽線」、「陽のカラカサ」と呼び、上昇が期待できるシグナルになります。逆に上ヒゲが長い状態は終値が高値より下がったことを示していますので、「陽の寄り付き坊主」、「上影陽線」、「陽のトンカチ」と呼ばれ、下落のシグナルになります。

陰線でも下ヒゲが長い状態を「陰の寄り付き坊主」、「陰のカラカサ」、「下影陰線」と呼び、下落している状態ですが、今後上昇が期待できるシグナルになります。逆に下ヒゲがない、上ヒゲが長い状態を「陰の丸坊主」、「陰の大引け坊主」、「上影陰線」、「陰のトンカチ」と呼んで、さらに下落が続くシグナルです。

十字線は「トレンド転換期」に登場することが多い傾向があります。この場合はヒゲが上に伸びていようが下に伸びていようが、様子見で、次のローソク足に注目する必要があります。

次のローソク足で先行きを占うのは「はらみ線」も同様です。こちらもトレンドの転換期に登場する傾向があります。はらみ線とは、前のローソク足の範囲に次のローソク足が収まってしまう状態です。

例えば陽線が何本も続く高値圏で推移していても、はらみ線となった場合は注意が必要です。これを「陽の陽はらみ」と呼びます。買いのパワーが衰えていることを示しているので、下落のシグナルとなります。

逆に陰線が続く下落トレンドでも、はらみ線となった場合は売りのパワーが衰えていることを示しているので、上昇のシグナルとなります。これは「陰の陰はらみ」と呼ばれます。

陰線の後の陽線がはらみ線となった場合、または陽線の後の陰線がはらみ線となった場合は、これだけでは上昇か下落か判断ができないので、さらに次のローソク足に注目します。次が陰線の場合は下落トレンドになる可能性がありますし、陽線であれば上昇トレンドになる可能性もあります。「陰の陽はらみ」、「陽の陰はらみ」であれば、エントリーやエグジットは様子見した方がいいでしょう。

2017年~2018年の米ドル/日本円(USD/JPY)で確認してみよう

まずは2017年の米ドル/日本円(USD/JPY)、日足チャートで確認してみましょう。

例えば7月14日と7月15日を比べてみると陰線(大陰線)の後に陽線となっていますが、7月15日の陽線は柱、ヒゲ共に短く、7月14日の陰線の範囲内に収まっています。まさに陰の陽のはらみです。ここでは上昇トレンドに転換するか、下落トレンドが続くか判断しにくいところです。翌7月16日は、陰線(大陰線)となり、ここから9月8日まで下落トレンドが続くことになるのです。

7月14日の高値が1米ドル113円52銭ほどで、9月8日の安値は107円31銭ですから6円以上の下落幅です。仮に1万通貨で10Lotのショートポジションを保有していたら、60万円以上の利益が出ています。

続いて2018年の米ドル/日本円(USD/JPY)の日足チャートです。

2018年に入り、ずっと下落トレンドが続いていたのですが、3月21日、3月22日、3月23日と3日続けて大陰線となっています。これは「三手大陰線」と呼ばれています。高値圏で登場した場合は、さらに下落が続くシグナルになりますが、安値圏で登場した場合はトレンドが転換して上昇していく可能性が強くなります。

ここから7月19日までのおよそ4ヶ月が上昇トレンドとなっています。その転換期だったのです。

3月23日の安値が1米ドル104円63銭で、7月19日の高値が113円17銭ですからおよそ8円50銭の上昇となりました。1万通貨で10Lotであれば、85万円の利益です。さらにロングポジションであれば、スワップ金利の収入もありますので、トータルでは100万円近い利益となります。

もちろんローソク足チャートの足型だけですべてが予測できるわけではありません。日本やアメリカの経済状況や利上げ予想だけでなく、他国との貿易問題や地政学リスクなど多くの要素が絡んでいるからです。

ただし、投資家心理もまた為替レートの変動に影響を与えています。そこを分析して読み解くのがテクニカル分析です。ローソク足チャートは、そんなテクニカル分析の基本なのです。

「どうも最近利益が出せない」という悩みがあるのであれば、改めて初心に戻り、ローソク足チャートを見つめてみるのも打開策のひとつになるのではないでしょうか。