為替ニュース一覧


10月16日から10月20日の為替ニュースについてまとめています。

米)予算決議案について

米上院が19日、賛成51反対49の僅差で予算決議案を可決した報道を受けて、20日の東京市場では税制改革が前進するとの期待を手掛かりにドル円が112.70近辺から113.30近辺まで一気に上昇、ユーロドルが1.180割れまで下落するなどドル高の動きが優勢となりました。

共和党のマコネル上院院内総務は予算決議案の可決を受けて、「不平等な税制の負担を強いられてきたアメリカ市民に強く必要とされる救済措置をもたらす方向に進んでいる」と述べた一方、民主党議員のジョー・マンチン上院議員は声明で「上院が子供達にさらなる借金を背負わせる決断をしたことに当惑する」と不満を示しました。

下院案では減税と貧困層に向けた義務的プログラムへの歳出を2030億ドル削減を法案に盛り込んでいる一方、上院案ではエネルギー天然資源委員会に今後10年間で最低10億ドルの節減を命じる内容となっており両院の法案内容に大きな差があるため下院が税制改革案に賛成する可能性は低く、下院側は「両院案をすり合わせるための交渉に最大2週間かかる」としています。

カタルーニャ独立問題について

週明けの16日はラホイ首相がプチデモン首相に対してカタルーニャ州独立宣言の明確な回答を求める期限だったこともあり、ユーロドルは1.17台後半、ユーロ円は131円後半へと下落しましたが、ラホイ首相が独立宣言への回答期限を19日まで延長したことから動きは一服する形となりました。

しかし19日、スペイン政府がカタルーニャ州に対して自治権停止措置の開始を宣言し、スペイン情勢を巡る不確実性がユーロにとって重しとなっているとみられています。

米)9月中古住宅販売件数について

日本時間10月20日23時に発表された米)9月中古住宅販売件数は予想の530万戸を上回る539万戸となりました。

米)9月中古住宅販売件数

▼米)9月中古住宅販売件数(年率換算件数)

前回535万件 予想530万件 結果539万件

▼米)9月中古住宅販売件数(前月比)

前回-1.7% 予想-0.9% 結果+0.7%

減少予想に反して増加した中古住宅販売件数と欧米株高を受けてドル円は一時113.52円となり、ドル高円安での推移となりました。またドル上昇の影響を受けてユーロドルも1.1781までドル高ユーロ安となる場面がありましたが、その後ドル円の上昇が一服しユーロドルが下値を試す動きは落着きをみせました。
またユーロ円はドル円とユーロドルの正反対な動きの板挟みとなり133台後半で横ばいとなりました。

米)地区連銀経済報告(ベージュブック)について

日本時間の10月19日3時、地区連銀経済報告が公表されました。

米)地区連銀経済報告(ベージュブック)

▼成長ペースは緩慢ないし緩やか

▼経済は進展、労働市場は広範囲でタイト

▼賃金圧力は緩慢あるいは緩やか、労働市場はタイト

▼物価圧力は依然穏やか、コスト転嫁は限定的

▼小売支出は緩やかに拡大、自動車と観光は増加

▼リッチモンド、アトランタ、ダラスの3連銀がハリケーンの損害を報告

米地区連銀経済報告は全12地区の景気拡大ペースは緩やかであるとした外、物価上昇圧力は依然として緩やかであることを指摘する内容となりました。

多くの地区が建設業と輸送業、製造業、サービス業などの人手不足を指摘していましたが、人手不足が賃金の上昇につながる事はなく今回の調査では物価圧力が緩やかであることが協調される結果となりました。

12月の利上げに向けた重要な材料となる可能性が高いと注目されていましたが、特にサプライズが無かったことから同報告での市場の反応は限定的で、公表前後で変わった動きは見られませんでした。
年内にあと1度の利上げを見込んでいますが、市場では12月の会合で追加利上げが正当化されるとの見方が強まっています。

自由貿易協定NAFTAについて


日本時間の10月17日カナダとメキシコがアメリカの提示したNAFTA案を拒否したとの報道後、NAFTA交渉担当者が共同声明で「期限を2017年末から延長する」と明らかにしたことを受け、米ドル加ドルは一時1.2591まで上昇する場面がありました。

FRB議長後任人事について

イエレン現議長は15日ワシントンで行われた会合で、「米金融政策当局は今後も緩やかな利上げを見込んでいる」と発言したことからスティーブン・イングランダー氏(ラフィキ・キャピタル・マネジメントの調査・戦略責任者)はレポートに、「イエレン現議長の講演からは利上げを決意していることが読み取れる」と記しました。

16日にはスタンフォード大学のジョン・テイラー教授がFRB議長後任人事についての面談でトランプ大統領に好印象を与えたとの報道を手掛かりに、ドル円は112円台を回復するなど次期FBR議長を巡り取引が活発になったことでドルは主要10通貨全てに対して値上がりした一方で、ユーロはドルに対し一段安となりました。

またポリティコ(米政治メディア)が、19日のトランプ大統領とイエレン氏の会談について「トランプ大統領はパウエル氏を指名する方向に傾いている」と報じたことを受けて、19日終盤の取引で米国際利回りが一時下げに転じました。

トランプ大統領は20日、次期FRB議長についてさまざま憶測が飛び交う中FOXニュースに対して、次期FRB議長候補の可能性としてパウエル氏とテイラー氏の名前を挙げた一方で、イエレン氏も非常に好ましいと発言しドルは一時動きが激しくなる場面がありました。

同日イエレン氏がトランプ大統領との面会後ホワイトハウスを再訪したとの報道に市場が反応しましたが、別報道によりイエレン氏の再訪はコーン氏との定例会合のためだったことが判明して一服しました。
当局者は、イエレン氏とコーン氏は2月以降から月に1回の割合で昼食を共にしており、今回も今までの食事会と変わらないものであるとしています。

注目を集めている次期FRB議長の後任人事についてトランプ大統領は17日、記者団に対して候補者全員が好ましいとした上で「今後かなり短期間に次期FRB議長を決定する」と述べたことから、11月3日にアジア歴訪に出発する前に発表すると見込まれています。