海外FX業者というのは殆どがSTPもしくはECNと呼ばれる電子商取引ベースのNDD方式で、顧客からの売買依頼を自らの会社で弄って反対売買をすることはなく、あくまで売買にマージンを取って取引をすることが基本となっています。

これは国内のDD方式を主体とする業者とは大きく異なるものといえるわけですが、そんな海外FX業者の中でもあえて社内にディーリングデスクを置くDD方式をとっているところが存在します。果たしてなぜこうした業者が存在するのでしょうか?今回は海外でDD方式の取引を提供する業者について考えてみることにします。

DD方式とはっきりわかるのは次の3社

まず海外FX業者の中で今も引き続きDD方式をとっているところをまずご紹介したいと思います。

BigBoss、FXDDの一部、GEMFOREXが市場でもよく知られた三社であり、海外業者故に国内の金融庁からの規制を受けないためすべからくゼロカット方式で証拠金以上の損失を取り立てられることはありませんが依然として社内にはディーリングデスクがあり、必ずしも顧客の利益にマッチしない取引を延々と行っているのです。

DD方式の業者が行う典型的なビジネスモデルとは・・

このDD方式は顧客からのオーダーに対して次のような行為を社内で行っていると思われます。

顧客間の売買の相殺

同一通貨ペアにおける顧客間の売りと買いの相殺は社内でまず行います。これはもっとも無駄のない行為の一つになるわけです。STPの業者でもさすがにこれだけは一部行っているという話はよく聞きます。

顧客からのオーダーに関する反対売買の実施

顧客から着たオーダーを反対売買を行うことで処理するケースがあります。

これはインターバンクの顧客からのオーダーに対する売買と同じようなもので、多くの顧客は間違った方向にポジションをもち損失を出しやすいので単純に損失が出ている顧客のポジションと反対の売買をすれば確実に利益を得ることができるというわけです。

顧客のオーダーをカバー先に流す業務

顧客からのオーダーが利益を上げているうちはあえて反対売買は行わずそのオーダーを単純にカバー先のインターバンクなどに流しているようです。相場に猛烈なトレンドが出ているような場合には顧客のオーダーにマージンを乗せて利益を確保したほうが断然有利であるためここではNDDと同じような動きをするわけです。

ただ見ているだけで何もせず呑みを行う

4つ目がDD方式の業者ならではのオペレーションとなる呑みの行為です。個人投資家のほぼ9割は三か月以内に証拠金を使い果たして市場から退場していくのがこの市場の常となっていますが、カバー先につながなくても反対売買をしなくてほとんど9割近い顧客は市場の動く方向と間違った方向に売買をしてみずから証拠金を使い果たして自滅するわけですから特別なにもしないで放置しておけば自ら証拠金を使い果たして退場していくことになります。呑みを行えば顧客の損失はすべて業者の利益になるわけですからこれほどおいしいビジネスはないことになるのです。

このようにDD方式をとっていれば同じ顧客の取引金額でもさらに利益を伸ばせる可能性があることがわかります。ほとんどの海外FX業者はできるだけ手間をかけないビジネスモデルを選択しているわけですが、ここでご紹介しているいくつかの業者はあえて社内にデスクを置くことで国内業者と同じような利益機会を得ようとしていることがわかります。

実際にこうした業者で取引してみた印象

DD方式をとる海外のFX業者も普通の状況では特別NDD方式との違和感を感じることはありません。しかし相場が大きく動き出すとなぜか約定力が低くなったり、国内業者でもみかけないリクオートと呼ばれる価格の再提示がでてきたりとなんだか様子のおかしなことに遭遇する可能性は高くなるのは厳然たる事実です。

恐らく相当長く使い込んでいるとさらに違和感を感じることもあるのかもしれませんが、普通に使っていますと大きな変化を感じないというのもまた事実で悩ましいところです。

最低限ゼロカットシステムが導入されていることが利用の前提条件

こうした海外FX業者なのにDD方式を利用される場合には、最低限ゼロカット方式が設定されていることが必須の条件となります。これで損失が出たときに追証まで求められたのでは海外業者を利用する甲斐がまったくありません。どうしても利用される場合にはそれだけは譲れない条件として選択の前提条件とされることをお勧めします。