Tradeviewはなぜラブアンのライセンスを取得したのか

オフショア市場のケイマン諸島のライセンスを所有

レバレッジを効かせることができるため、少額の資金から始められるFX(外国為替証拠金取引)は様々な人々が活用している投資です。レバレッジは金融庁に規制されている国内よりも、海外の方が高いため、ハイリターンを期待して海外FX挑戦するトレーダーも多くなってきました。しかし、海外FX利用するうえで不安な面もあります。「本当にこのFX業者を利用して安全なのか」という点です。

安全性の基準になるのは、そのFX業者が所有しているライセンスです。今回ご紹介するのは、ボーナスやキャンペーンはないものの、スプレッドが狭く、透明性の高い取り引きができることで人気の「Tradeview」になります。2004年に設立されたTradeviewが所有するライセンスはイギリス領ケイマン諸島金融庁(CIMA)です。ケイマン諸島はオフショア市場の中でも有名で、世界中から大手の金融機関が集結しており、銀行総資産は1.5兆ドルに達しています。マネーロンダリング対策などにも優秀で、企業活動作業部会(FAFT)のランキングにおいて世界5位に位置しています。実は日本よりも評価は高いのです。ライセンスとしての信頼性もまたとても高いといえるでしょう。

Tradeviewが日本人トレーダー向きにサービスを開始したのは2016年ですので、まだまだ日本人仕様になりきれていない部分があったり、利用する日本人トレーダーの数が少なかったりしますが、安心してFXを行うにはおすすめのFX業者になります。今後、注目度が高まり、Tradeviewを利用するトレーダーの数も増えていくことでしょう。そんな中、Tradeviewは2019年5月にマレーシアのラブアン金融サービス庁(Labuan FSA)のライセンスを取得しました。これにはいったいどのような意味があるのでしょうか?

オフショア市場としてラブアンは魅力的

オフショア市場の中で、ラブアン島はあまり聞き慣れない名前です。オフショア市場といえばケイマン諸島やベリーズ、バヌアツ、セーシェルなどを大手のFX業者は利用しています。ラブアンのライセンスとなるとかなりマイナーなイメージを受けます。

しかし、このラブアンは近年になってとても人気のオフショア市場になってきているのです。2018年の会社設立件数は前年より12.5%も増加しています。なぜラブアンを利用するFX業者が増えてきているのでしょうか?それは規制が他のオフショア市場よりも緩いためです。ベリーズやバヌアツのような資本金規制がありません。50万リンギット(およそ13万ドル)をラブアンの銀行に預け入れ、オフィスに2名配置できていればそれで事業が開始できます。その2名も取締役やCEOである必要もありません。ハードルがとても低い点が大きな特徴です。

そしてオフショア市場としてもっとも注目すべき税制優遇措置ですが、同じアジアに位置するシンガポールが17%、香港が16.5%であるのに対して、ラブアンはなんと利益の3%の納税が義務付けられているだけなのです。ですから、バヌアツなどリテール金融業者に対して規制が厳しくなっている中で、さらに多くのFX業者がこのラブアンを有効活用するようになるのではないでしょうか。そういった点では、Tradeviewのラブアンライセンス取得は、先手を打ったといえます。

ラブアンライセンスの取得は、今後のさらなる規制に対する備えのようですが、ライセンスを移行した場合、現在のECN口座の口座開設時最小入金額1,000ドルといったハードルが引き下げられるようになるかもしれません。

ただ、海外のFX業者の安全性はライセンスだけが基準ではありません。やはりどのように顧客の資金を管理しているのか、もしものときにどのような補償があるのかは気になります。はたしてTradeviewはどのような補償システムになっているのでしょうか。

Tradeviewの補償システム

Tradeviewは分別管理

海外FXは国内FXのように完全信託保全が義務付けられているわけではないので、信託保全なのか、分別管理なのかを判別するのがなかなか難しいです。同じFX業者であっても、信託保全と紹介されているサイトもあれば、分別管理と書かれているサイトがあったりするので余計に混乱してしまいます。

Tradeviewの仕組みは、顧客から預かった資金をスペイン最大級の銀行であるSantander Bankの信託口座で分別管理を行っています。仮にTradeviewが破綻したとしても、分別管理されているので顧客の資金を経営の資金に充当することはできません。

大手のFX業者であったとしても、いつ何時、どのようなサプライズが起こるかわかりません。例えば2015年のスイスフランショックの際には、イギリスの大手FX業者だったアルパリ(UK)Limitedが破綻しています。アメリカ大手のFX業者であるFXCMもおよそ261億円の損失を出して破綻寸前に追い込まれましたが、リューカディアナショナルからおよそ351億円の融資を受けて回避しました。ですからもしものことを考えておくことは重要なのです。

ちなみに分別管理されている銀行自体が破綻するということも考えられますが、Santander Bankの2017年の銀行資産ランキングは1,068億ユーロ(13兆円)で16位になります。三井住友銀行よりも上位です。Santander Bankが破綻することはまず起こらないでしょう。

Tradeviewではどこまで補償されるのか

Tradeviewは国内FXのような完全信託保全ではありません。FX業者に預けた資金、保有しているポジションの含み益、スワップポイントのプラス分などの現状の利益がすべて補償されているわけではないということです。

ではどこまで補償されるのかというと、Tradeviewは外部会計監査機関であるMainstream Group Holding LTD(旧Fund Administration社)との信託契約の下、破綻時には最大で35,000ドル(およそ350万円)までが補償されています。もしものことを想定し、リスクヘッジするのであれば、Tradeviewに預ける資金は350万円までにし、それ以上の利益が出た場合は、出金しておくという方法もあります。

分別管理とはいっても、FX業者に管理権限がある場合は口座が別にあるだけで簡単に横領ができてしまいます。そういったFX業者はリスクが高いので利用は控えた方がいいでしょう。Tradeviewの場合、外部機関が管理する仕組みになっていますので、分別管理といっても顧客の資金を横領するといったリスクはありません。その点では安心して資金を預けることができますし、一定の補償がありますから信託保全同等の安全性を誇っていると考えていいでしょう。

よくある勘違いは、このFX業者はCySEC(キプロス)のライセンスを所有しているから、投資家補償基金(ICF)に加盟していて、もしものときに1人2万ユーロ(およそ230万円)まで補償されていると安心している場合です。CySECライセンスの口座では日本人トレーダーは取り引きができませんので、日本人トレーダーに対しては別法人で、別のライセンスになりますから、ICFは適用外です。大手FX業者ほど多くのライセンスを所有しており、それだけ信用度は高まりますが、補償はまた別の話になります。日本人トレーダーに対してはどのような補償があるのか、しっかりと確認しておく必要があります。

海外FXを始めるために口座を開設するのであれば、レバレッジやスプレッドだけではなく、ライセンスや補償面といった安全性も考慮していくと、Tradeviewはやはりおすすめの優良FX業者です。ボーナスといった派手なパフォーマンスはありませんが、堅実に海外FXを行う予定であればぜひTradeviewを活用してみてください。