出金拒否というFX業者はあるのか？

以前には国内にもいた悪徳業者

24時間取り引きが可能で、少額から始められる投資ということで「FX」（外国為替証拠金取引）が注目を集めていますが、これからFXを始めるという場合、「利益が出ても出金拒否されるという噂を聞いたことがあるけど、本当に大丈夫なのだろうか？」と不安な気持ちもあるかもしれません。

確かにFXの黎明期には、国内でも顧客の資金を横領したり、預けた資金が出金拒否されてそのままFX業者が倒産してしまうような事件がありました。しかし現在は、国内・海外共に規制が厳しくなっており、ひと昔前のような悪徳業者は姿を消しています。ただし、まったくゼロというわけではないでしょう。熾烈なサービス競争を繰り広げているFX業界において、生き残っていけないような業者は、もしかすると最後の手段でトラブルを起こすような対応をするかもしれません。

仮にそのようなことがあったとしても、それは名前もよく知られていないようなマイナーなFX業者の話です。この場合は自己責任になってしまうので、マイナーなFX業者は利用しないのが賢明です。

ネット上で「大手のFX業者に出金拒否された」という口コミを見かけることもありますが、実際は海外FXのルールを把握しないで勘違いしているケースがほとんどです。大手FX業者が意図的に出金拒否することなど考えられません。ただひとつあるとすると、FX業者の規定に抵触するような違法トレードを行った場合で、これはまったく別のケースになります。違法トレードが発覚した場合、出金拒否だけでなく口座凍結という事態にもなりかねないので、FX口座を開設する際は、何が違法トレードなのかをしっかりと確認しておきましょう。これは完全にトレーダー側のモラルの問題です。

ライセンスを保有するFX業者で出金拒否が考えられない理由

出金拒否をするような悪徳業者がまったくないとは断言できませんが、ライセンスを所有しているようなFX業者であればそのような行為はしないでしょう。FX業者にとってメリットがないからです。出金拒否をしてわずかな利益を得たとしても、SNSが発達している現代では、その悪評があっという間に世界中に拡散します。信頼を失墜させることになりますので、FX業者からすると大損です。

特に海外は、国内FXのような「DD方式」（ディーリングデスク・相対取引）を採用しておらず、「NDD方式」（ノーディリンググデスク）を採用しているFX業者が大半です。NDD方式ではスプレッドが重要な収入源になりますので、より多くのトレーダーを集め、たくさん取り引きしてもらうことで収益が上がります。「スプレッドが狭い」「ボーナスが充実している」「1000倍を超えるような超ハイレバレッジで取り引きできる」といったようなメリットを重視して、トレーダーはFX業者を選ぶわけですが、そこで、「このFX業者は出金拒否になるリスクがある」といったデメリットの評判が広がってしまうと、誰もそのFX業者を利用しなくなります。ですからライセンスを所有し、一定の信頼を維持しながら運営しているFX業者は、悪意のある出金拒否などしないのです。

それでも実際に海外FXをしていると、最初の頃は出金ができずにパニックになる人もいます。困ったことになったらサポートセンターに連絡するのが一番です。日本人スタッフのいるFX業者であれば、すぐにチャットで返信してくれます。ただし、サポートセンターに問い合わせる前に、海外FXをするうえで最低限のルールはしっかりと把握しておきましょう。

それでは、よくある出金拒否されたと勘違いしているケースについてご紹介していきます。

出金トラブル解決法

AML防止のルールを確認しよう

海外FXではクレジットカードを利用してFX口座に入金することができます。この場合、クレジットカードのショッピング枠の限度額まで、簡単に迅速に入金することができるのでとても便利なのですが、出金制限があることを知っておいてください。ルールを知らないと、取り引きで利益が出ていざ出金しようとした際に出金できないで困惑することになってしまいます。

これは「AML防止」（アンチマネーロンダリング）によって、入金ルートと出金ルートを同じにしなければならないからです。マネーロンダリング（資金洗浄）を防止するため、クレジットカードで出金できる金額は、クレジットカードで入金した金額までと決められています。50万円をクレジットカードで入金し、ハイレバレッジで200万円まで増えたとしても、クレジットカードで出金できるのは50万円までです。しかも実際は「キャンセル」のための「返金扱い」となりますので、その確認の分だけ時間がかかり、着金まで1週間ほど待たなければなりません。

AML防止のルールを知らないと、「このFX業者は、利益が出ても出金拒否される」と勘違いしてしまうわけです。しかしこれは出金拒否ではなく、出金方法を変えれば解決することができます。方法についてはFX業者によって異なりますが、利益分は海外送金やbitwallet、STICPAYなどで出金可能になります。入金方法だけでなく、事前に利益分の出金方法について確認しておく必要があるでしょう。

ボーナスは基本的に出金できない

「なぜか出金できない」とトラブルになるのが「ボーナス」の扱いです。海外FXでは、まったくボーナスが付与されないFX業者もありますが、充実したボーナスを提供しているFX業者もあります。日本人トレーダーから圧倒的な支持を受けている「XM」はその代表でしょう。口座開設ボーナス、入金ボーナス、そして取り引き量に応じたXMポイントがあります。XMポイントは3で割った数値をボーナスに加算することが可能です。

出金拒否と勘違いしてしまうのは、「ボーナスは出金できない」ということを知らないためです。XMの場合だと、入金した資金は「残高」として表示され、付与されたボーナスは「クレジット」として表示されます。どちらも売買するときの有効証拠金としては何ら変わらない扱いですが、損失が発生した場合は残高から減っていく仕組みです。ボーナスは出金できず、さらに残高から出金すると、出金した割合に応じてボーナスも消滅します。全額資金を引き出した場合、ボーナスはすべて消滅するということです。つまりボーナスは有効証拠金として利用できるが、現金化することはできないのです（XMポイントはやや扱いが異なります）。

ボーナスは、FX業者によっては付与されてから30日以内に25回以上の取り引きを成立させると出金可能になるといったような独自のルールもありますので、こちらもしっかりと確認しておきましょう。基本的にはボーナスは出金できないものと考え、ボーナスが出金できなくても出金拒否とは違うので慌てないでください。

クレジットカードやボーナスに関するトラブル以外にも、FX口座開設の名義と、出金銀行口座の表記が異なるために出金できないというケースもあります。サポートセンターに問い合わせてしっかり確認すれば、ほとんどの問題は解決できます。ですから海外FX初心者の場合は、多くのトレーダーが利用しているような信用できる大手で、日本人スタッフが対応してくれるFX業者を選ぶべきでしょう。それが出金拒否のトラブルを避ける最大のポイントになります。