LAND-FXの特徴

どこのライセンスを所有しているか不明

FX(外国為替証拠金取引)を行ううえで、どこのFX業者に口座を開設するかは重要です。海外のFX業者を選択するメリットは、やはり国内とは比較にならない超ハイレバレッジでしょう。リスクは高くなるものの、超ハイリターンを期待できるからです。

しかし、レバレッジばかりではなく、どれだけ信頼できるかも重要になります。補償がされていないのでは、そのFX業者が破綻した際に、資産を失ってしまうことになるのです。

大手FX業者の「LAND-FX」はどこまで信用できるのでしょうか?

LAND-FXのサイトでは、審査の厳しい英国FCAライセンスを所有していると記載されています。信託保全はされていないものの、FSCS(英国金融サービス補償機構)に加入しているため5万ユーロまで補償されるようですが、こちらはすべて「LAND-FX UK Ltd.」の話です。

日本人トレーダーの対象となるのは、LAND-FX UK Ltd.ではなく、「LAND Prime Ltd.」になります。ふたつは別法人です。LAND Prime Ltd.の本社はニュージーランドにあり、以前はニュージーランドのライセンス(FSP)を所有していたはずですが、現在は表記がないため未登録業者なのではないかとも考えられます。

おそらく信用度をアピールするためにLAND-FX UK Ltd.の話を持ち出しているのでしょうが、LAND Prime Ltd.について隠されている状態になっているためミスリードギリギリになっています。他にもこのような誤解を招くような記載をしているFX業者がありますので、注意が必要でしょう。

この時点でLAND-FXの信用度については疑問符が付いてしまいます。

ゼロカットシステムが申請形式?

もうひとつ大きな疑問なのが、ゼロカットシステムについてです。国内では禁止されているのでこのようなサービスはないのですが、海外のFX業者では基本は提供されています。

相場が急変して大きな損失が生まれ、証拠金がマイナスになった場合、マイナス分の損失をFX業者が負担してくれるというものです。ゼロカットがあるので超ハイレバレッジでも果敢にトレードすることができます。

LAND-FXにもゼロカットシステムはあるのですが、そこには条件が記されています。ゼロカットは申請形式になっており、LAND-FXの判断を仰ぐ必要があるというのです。申請しないと借金返済の追証が発生するということでしょうし、申請したとしてもLAND-FXに拒否された場合、やはり借金返済の追証となります。

どういう状況であればゼロカットされて、どういう状況だとゼロカットが拒否されるのか具体的な内容が記載されていないためわかりません。不正行為をした場合にはゼロカットされないという説もありますが、定かではありません。あまりにも業者の負担額が大きすぎる事態になると、ゼロカットされないという可能性もあるということです。

LAND-FXでは最大で500倍という超ハイレバレッジを効かせることができますが、もしもの事態を考えてポジション量は抑えた方がいいでしょう。ちなみにLAND-FXの強制ロスカットは証拠金維持率30%を下回った場合ですが、スイスフランショックのように値が飛んで作動しないこともあるので注意が必要です。

LAND-FXはDD方式を採用しているのか?

公式発表ではNDD方式

FX業者はディーラーが仲介してトレーダーの注文を受け、他の注文にぶつけたり、呑んだりする「DD方式」(ディーリングデスク、相対取引)と、ディーラーが仲介しない「NDD方式」(ノーディーリングデスク)に分かれます。

国内では多くのFX業者がDD方式を採用しており、そのため限界までスプレッドを狭め競争している状態です。スプレッドはFX業者にとって手数料的存在ですから、それを狭めることで利益が減ってしまうのですが、トレーダーに不利に働くスリップページや約定拒否、ロスカット狩りなどを行うことで利益を補うことができます。

海外のトレーダーの多くは多少スプレッドが広くても、それ以上に透明性や約定力を求めているので、大手FX業者のほとんどが、NDD方式を採用しています。その方がトレーダーのニーズに応えることができるのです。

LAND-FXは以前からDD方式を採用しているのではないかという憶測があります。詳しく見ていくと、NDD方式の中でもインターバンクに直接注文を入れる「ECN」を採用している口座は確かにあり、10万通往復の取り引きで手数料が7ドルという設定になっています。ECNだとスプレッドが狭い代わりに手数料を支払わなければならないのです。

他にもスタンダード口座(Live口座)があり、サイトではNDD方式のSTPを採用しているとしています。STPだとディーラーを仲介せず、提携しているLPが提示する最も有利な価格で取り引きができますし、実際にLP先として「Bank of America」「JP Morgan Chase」「Settlement Bank」がサイトで紹介されています。つまり公式発表ではNDD方式ということです。

しかし、前述したように、この仕組みはLAND-FX UK Ltd.の話であって、LAND Prime Ltd.は基本的にDD方式の可能性があります。もちろんDD方式だから必ずしも不正な操作をしているというわけではなく、DD方式にもトレーダーのメリットがありますので、取り引きに支障がなければ大きな問題ではありません。これは確かめようがなく、サポートセンターに問い合わせても、NDD方式ですと答えられればそれまでです。

約定の速度とスプレッドの狭さに疑問

なぜDD方式を採用していると憶測されているのかというと、その約定の速度がとても速いことと、スプレッドが海外のFX業者では最狭水準だからです。

公表されている約定スピードはアベレージが0.035秒となっています。成行注文で買いをクリックした瞬間に約定する感じです。ディーラーがまず注文を呑んでいるからだと考えられています。スリップページもほとんどなく、オーダー執行率は98.22%と公表しています。リクオートは100回に1回ほどの割合です。

スプレッドは米ドル/日本円(USD/JPY)で0.8pips、ユーロ/日本円(EUR/JPY)で1.5pips、ユーロ/米ドル(EUR/USD)で0.8pipsですから、確かに他社と比較するとスプレッドはかなり狭く設定されています。国内のFX業者に慣れている日本人トレーダーは、スプレッドの狭さでFX業者を選択する癖がありますので、そこに狙いを定めた設定なのかもしれません。スプレッドが狭くても、DD方式であればFX業者は他に利益の出しようもあります。

LAND Prime Ltd.とLAND-FX UK Ltd.の境がぼやけているような表記のため、トレーダーもどこまで信用していいのか戸惑っているようです。間違ってもLAND-FX UK Ltd.のメリットだけを告知しているサイトは信用しない方がいいでしょう。