メキシコペソのメリット

メキシコといえばアメリカのトランプ大統領から目の仇にされているという印象があります。実際にトランプ大統領は2018年1月のTwitterで、メキシコを世界で最も危険な国と名指しし、国境の壁建設を推し進めようとしているほどです。

事実、メキシコは麻薬絡みの犯罪が絶えず、2017年だけでも2万件の殺人事件が起きています。かなり治安が悪いというのがメキシコという国の実情です。

しかし、アメリカとメキシコの関係は切っても切れないほど強く結びついています。メキシコの輸出の8割はアメリカ向けであり、アメリカ経済に依存している状態だからです。

アメリカ経済が世界をリードしている間は、メキシコの経済状況もかなり安定したものになります。IMFは2018年の実質GDPを2.1%と前年比プラス0.1%と予想し、2019年はさらに成長して2.3%となるとしています。人口増加も伴い、2050年には世界有数の経済大国までに成長するという見方もあるほどです。ゴールドマンサックスは世界第5位になるだろうと予想しています。

インフレ率が6.0%と比較的高い点が不安視されていましたが、2015年12月以降、度重なる金融引き締めによって政策金利は、2018年12月時点で8.25%、インフレ率も4.9%と抑えられています。

治安に関しては問題があるものの、アメリカ経済の景気にも支えられ、新興国としては珍しく失業率も、債務残高についても大きな問題を抱えていません。ちなみに2018年のプライマリーバランスはGDP比1.3%黒字で、債務残高もGDP比53.1%と、2017年と比較して1.2%低下する見込みになっています。

さらに、2018年12月に発足したロペス・オブラドール大統領に率いられた左派政権が、今後の金融政策や汚職撲滅などで活躍されると期待されています。

以上の点において、流動性が低くリスクの高い新興国通貨でありながら、メキシコペソは他にはない安定感を誇っています。メキシコの信用格付けは、ムーディーズでA3、S&PグローバルレーティングでBBB+と、南アフリカやトルコよりも上です。

海外のFX業者として日本のトレーダーから抜群に人気を誇る「XM」(XMTrading)でも、米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)を取り扱っていますが、1Lot(10万通貨)のショートポジションで、毎日650円~700円ほどのスワップ金利を手にすることができます。

10Lotであれば1日7,000円の不労所得が見込めますので、1ヶ月で21万円になります。中期・長期的に資産運用するのであれば、メキシコペソはとても魅力的だということがわかります。

メキシコペソのデメリット

メキシコはカリブ海沿岸に油田が多いことから世界第6位の石油産出国です。また銅も世界第2位に位置しており、資源国という一面もあります。ですから、ここ最近の原油価格の下落はメキシコ経済にとっては大きなダメージです。メキシコペソを扱う場合は、今後の原油価格の推移にも注目していく必要があるでしょう。

そして何よりも注意しなければならないのは、依存しているアメリカとの関係になります。トランプ大統領は、保護主義の一環として北米自由貿易協定(NAFTA)をアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に変更する舵取りをしました。すでに3国間で合意されており、2020年より発効される見通しです。

これによりアメリカは今まで以上に強気で中国との交渉を進めることができるようになりましたが、アメリカ・中国の貿易紛争がメキシコにも大きく影響してくることは避けられません。消耗戦となって仮にアメリカの経済が後退していくと、それに依存するメキシコの経済もまた同じような動きをしていくことになります。

新政権のロペス・オブラドール大統領もまた、メキシコファーストの姿勢を打ち出しており、保護貿易を掲げるトランプ大統領と衝突するリスクもまったくないとは言い切れません。

スワップ金利狙いで多くのポジションを抱えた場合、突発的な暴落によって大きな為替差損が発生しますので、アメリカと中国の交渉の状況や、アメリカとメキシコの関係性を見極めながらポジションを管理していく必要があるでしょう。

もしレンジをブレークした場合は、速やかな損切りをすることで、リスクを最小限に抑えることができます。

2017年から2019年にかけての米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)の推移

それでは具体的に2017年から2019年にかけての、「米ドル/メキシコペソ」(USD/MXN)の推移を確認してみましょう。

2014年ごろまでは1米ドル12.8ドルほどで推移していましたが、アメリカの景気回復などにも支えられ、2017年まで上昇を続け、21.5ドルほどの高値をつけています。ここが現在の天井です。下値は2017年7月の17.5ドルであり、かなり狭いレンジ内を2017年、2018年と上下しています。

下落基調でも18ドルがサポートラインとなっており、すぐに反発、上昇しても20.6ドルがレジスタンスラインとなって上値を抑えています。2019年1月16日の段階では18.9ドルと2019年に入っても安定してレンジ内という状態が続いています。

大きな変動がないため、スワップ金利狙いであれば絶好のチャンスと言えるでしょう。今後もしばらく同じようなレンジ内での上下が予想されています。さらに、レンジ内の安値に近づいたら買い、レンジ内の高値に近づいたら売るという「逆張り」が効果的です。これだとスワップ金利だけでなく、為替差益も狙っていけます。

ちなみに国内ではメキシコペソ/日本円(MXN/JPY)を扱っているFX業者がありますが、こちらの為替レートでは、2008年のリーマンショック以降は6円台が続き、一時期は5円台まで下落しましたが、2012年のアベノミクスから上昇し8円台まで戻しています。

2015年の上海総合指数下落に伴う世界的な円高傾向で一時は4.7円まで急落しましたが、その後は回復し、米ドル/メキシコペソ同様に狭いレンジでの上下を続けています。4円台から8円台のレンジでの上下となっており、2019年も6円台が続くのではないかという見通しです。

かなりポジションを保有しやすい条件がそろっているのが、メキシコペソではないでしょうか。メキシコペソは、中期・長期で資産運用していくのであれば、もっともリスクが低く、安定して利益を出していける可能性が高い通貨であるということが言えるでしょう。