ストップ狩りとは?

FX(外国為替証拠金取引)には「ストップ狩り」(ストップハンティング)と呼ばれている手法があります。

一般的にトレーダーはポジションを保有する際に、リスクマネジメントのため「ストップロス注文」を入れます。いわゆる「損切り」です。

長期運用の場合はレンジをかなり広くとりますが、短期運用であれば、直近の最安値や最高値などを節目として考えてストップロスを設定します。もちろんあえてずらして、最安値よりも少し下げたレートや、最高値よりも少し上げたレートにストップロスを設定するケースもあります。

問題はその節目の近辺に大量のストップロス注文が溜まっているということです。

豊富な資金を持つヘッジファンドは、このストップロス注文が溜まっているポイントを見抜き、大量の売買注文を出して相場を動かすのです。節目が近づいてきたら仕掛けるタイミングになります。特に取引量が少なくなるニューヨークタイムの終了時、日本時間の早朝6時ごろが狙い目です。

ヘッジファンドは100億円以上の資金を投入して30pips以上動かせるとも言われています。この仕掛けが上手くはまると、大量のストップロス注文を巻き込み、為替相場は急騰または急落することになるのです。

例えばストップ狩りによって為替相場が急落した場合、ヘッジファンドはすぐに買い戻し利益を出します。ストップロス注文の連鎖が終了すると為替レートはある程度回復することになるので、ローソク足チャートだけをみると下に異様に長いヒゲだけが残っています。

これがヘッジファンドによる戦略的な仕掛けによるストップ狩りです。別に違法行為ではありません。トレード手法のひとつです。ただし、仕掛けが失敗すれば100億円の損失を抱えるリスクもあります。

ストップ狩りの防ぎ方

取引量が少ないオープン時が狙われますので、ストップ狩りを回避する方法のひとつとして「日をまたいでポジションを保有しない」ことが有効です。デイトレードという言葉通り、その日のうちにポジションはすべて決済してしまいます。そうすればストップ狩りの被害に遭う機会は軽減されるでしょう。

重要な経済指標発表前後もストップ狩りのタイミングとして狙われるので注意が必要です。急騰したと思ったら急落することがよくあります。しばらく様子見をしてトレンドを見極めてから参加した方がリスクを抑えることができます。

ストップ狩りについては、もう一点注意しなければならないことがあります。実はストップ狩りにはヘッジファンドの仕掛け以外にも、「FX業者の不正行為」が考えられるからです。

国内の多くのFX会社は「DD方式」(ディーリング・デスク、OTC方式、相対取引)を採用しています。これはトレーダーの注文をそのままインターバンクに流すことをしていません。

ディーラーが複数の注文を組み合わせて相殺させたり、オーダーをカバー先に流したりします。通貨ペアの価格変更やスプレッドを広げることで調整することも可能です。問題なのはトレーダーが利益を出すと業者が損をし、トレーダーが損失を出すと業者が得をする仕組みだということでしょう。

ディーラーはどこにストップロス注文が溜まっているのか、確認することができます。ですからその節目に近づいた際に、意図的にスプレッドを広げてストップ狩りをすることができるのです。この不正行為は裁判沙汰になったほど問題になり、現在はほとんど表面化されていませんが、DD方式が不透明である実態は変わらないでしょう。

海外のFX業者の代表ともいえる「XM」では、DD方式を採用せず、「NDD方式」(ノーディーリング・デスク)を採用しています。トレーダーの注文をそのままインターバンクに流す方法です。スプレッドはやや広くなりますが、トレーダーの利益が業者の利益になりますので、DD方式の不正行為のようなことは発生しません。

つまりXMであれば、国内のFX業者がこっそり行っている可能性のあるストップ狩りを回避できるということになるのです。

海外のFX業者がすべてNDD方式を採用しているわけではなく、DD方式であからさまな不正行為をしている業者もありますので、海外のFX業者を利用する際は、超ハイレバレッジにばかり目を奪われず、安全性や信用にもしっかり注目する必要があるでしょう。

2019年スタートからいきなりのストップ狩り

実際に最近発生したストップ狩りを確認してみましょう。

2019年1月3日、日本時間の早朝になります。それ以前のニューヨークタイムでは、アメリカで政府機関の一部閉鎖が長期化ムードとなり、終値は米ドル/日本円(USD/JPY)が1ドル108円88銭でした。しかしニューヨークタイムの引け前に、アップルの売り上げ見通しが下方修正されたことでダウ先物が急落します。年初で市場参加者も限定されており、東京市場も休場とあって流動性がかなり低い状態でした。

ヘッジファンドにとってはストップ狩りを仕掛けるには絶好のタイミングです。108円のストップロス注文を巻き込むと、一気に急落し、107円を割り込み、106円、105円のストップロス注文も連鎖。2018年の3月に記録した1ドル104円56銭まで迫るところまで暴落したのです。一時は1ドル104円87銭の安値をつけています。その後は買い戻しが入り、すぐに1ドル107円台に回復しました。

午前7時から午前8時にかけて米ドル/日本円(USD/JPY)は大きく乱高下したのです。108円台で大きな売り注文を出し、ストップロス注文を巻き込みながら104円台まで下落、ここで利益確定し、再び大きな買い注文を出していたとしたらこの1時間で巨額の利益を生み出していることになります。

これがヘッジファンドといった豊富な資金を持つ投資家のストップ狩りです。個人投資家には真似できない手法です。もちろん偶然にもショートポジションを保有していて、この流れに乗って利益確定していたら大きな利益を出せていたでしょう。しかし、多くのトレーダーが、年始休みでゆっくり寝ていたところにストップ狩りを仕掛けられ、起きたらロスカットの憂き目に遭っていたことになります。

XMであれば、DD方式によるFX業者の不正行為は防ぐことはできますが、ヘッジファンドの仕掛けは自分で対応するしかありませんので、相場の動向や保有しているポジションの量には充分に注意した方がいいでしょう。