取引量が多いのはニューヨークタイム

取引量が少ない時間帯は、ボラティリティ(変動率)が低く、多額の資金を投じている投資筋の突発的な取引によって為替レートが変動しやすいので、テクニカル分析が通用しにくいというデメリットがあります。

取引量が増えてくるのは、ロンドン市場がオープンし、さらにニューヨーク市場も重なり合う時間帯でしょう。ここではアメリカの重要経済指標も発表されますので、ボラティリティが高まります。勝つためには、テクニカルだけでなく、ファンダメンタルズ要素にも注目していく必要があるでしょう。

アメリカの経済指標については、夏時間と冬時間によって発表の時間が異なるため注意が必要です。3月第2日曜から11月第1日曜までが夏時間になり、日本時間の21時30分から続々発表されていきます。それ以外の期間は冬時間になりますから、発表は日本時間で22時30分以降です。

日本に住むビジネスパーソンでも、仕事が終わり、帰宅してからでも充分に間に合う時間帯です。ニューヨークタムに合せてデイトレードやスキャルピングを行い、利益を出していくことができるのです。

ただし、流動性の高いメジャー通貨であったとしても、重要な経済指標発表直後は売買が集中し、スプレッドが広がります。米ドル/日本円(USD/JPY)のスプレッドが原則固定0.3pipsと広告していても、2.0pips以上に広がる可能性があります。

こうなると、取引量が増え、ボラティリティが高くなるものの、スキャルピングには不向きなタイミングといえます。

アメリカの経済指標にはそれだけ世界中の投資家たちが注目しており、結果によっては、今後の大きなトレンドを形成することになりますので、FX(外国為替証拠金取引)で勝つためには、仮にエントリーしなくても、必ず確認しておくべきでしょう。

今回はアメリカの重要経済指標についてお伝えしていきます。

アメリカの重要経済指標トップ3

雇用統計

第1金曜日に発表されるキング・オブ・経済指標です。特に「非農業部門雇用者数」(NFP)と「失業率」に注目が集まります。NFPについては事前予想との乖離が大きく、前月・前々月分の修正分も変動が大きいために、ポジティブサプライズやネガティブサプライズになりやすい傾向があります。

発表後に100pips以上変動することも珍しくはありません。そのため、発表される3日前から様子見状態のもみ合いが続きます。

2018年の直近の結果について以下の通りです。

NFP 失業率
11月 155K(予想200K、前回237K) 3.7%(予想・前回共に3.7%)
10月 250K(予想193K、前回118K) 3.7%(予想・前回共に3.7%)
9月 134K(予想185K、前回270K) 3.7%(予想3.8%、前回3.9%)
8月 201K(予想191K、前回147K) 3.9%(予想3.8%、前回3.9%)

失業率については良好な状態で安定していますが、NFPは予想を上回ったり、下回ることを繰り返していることがわかります。

2019年1月4日に発表される12月雇用統計では、12月NFPの予想が180K、12月失業率の予想が3.7%です。仮に順番通りだと次のNFPは予想を上回り、ポジティブサプライズになるはずです。はたしてどうなるでしょうか?

FOMCによるFF金利

連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)によって決定されるフェデラルファンドレート(FF金利)の誘導目標値も、もちろん大注目されます。短期金利だけでなく、ダウ平均、S&P500、米国債10年利回り、そしてドルストレートに大きな影響力を持っています。

2019年の利上げペースは、当初の3回から2回に下げられましたが、今後のアメリカの経済状況だけでなく、トランプ大統領のパウエルFRB議長解任の憶測なども波紋を広げており、注意深く見守っていく必要があります。

四半期GDP速報値

「国内総生産」(GDP)は、アメリカの景気判断をするうえでとても重要な指標になります。発表は毎月下旬になり、四半期ごとの結果で、1月・4月・7月・10月が「速報値」、2月・5月・8月・11月が「改定値」、3月・6月・9月・12月が「確定値」です。他の国よりも1ヶ月早く発表されます。

2017年から2018年にかけてのGDPの推移を確認してみましょう。

2017年第4四半期

  • 速報値:2.6%(予想3.0%、前回3.2%)
  • 改定値:2.5%(予想2.5%、前回2.6%)
  • 確定値:2.9%(予想2.7%、前回2.5%)

2018年第1四半期

  • 速報値:2.3%(予想2.0%、前回2.3%)
  • 改定値:2.2%(予想2.3%、前回2.3%)
  • 確定値:2.0%(予想2.2%、前回2.2%)

2018年第2四半期

  • 速報値:4.1%(予想4.1%、前回2.2%)
  • 改定値:4.2%(予想4.0%、前回4.1%)
  • 確定値:4.2%(予想4.2%、前回4.2%)

2018年第3四半期

  • 速報値:3.5%(予想3.3%、前回4.2%)
  • 改定値:3.5%(予想3.6%、前回3.5%)
  • 確定値:3.4%(予想3.5%、前回3.5%)

2017年の第4四半期の速報値は予想を下回っています。2018年に入ってからは速報値で予想を下回ることがなかっただけに、2019年1月下旬に発表される第4四半期の速報値に期待が集まります。

その他の重要経済指標

消費者物価指数(CPI)

毎月中旬に発表されるインフレ系の最重要指標です。季節要因を受けやすく、価格も変わりやすい食品やエネルギーなどを除いた商品やサービスの価格変動である「コア指数」が重要視されることになります。

2018年の直近の結果について以下の通りです。

前月比 前年比
11月コアCPI 0.2%(予想0.2%) 2.2%(予想2.2%)
10月コアCPI 0.2%(予想0.2%) 2.1%(予想2.2%)
9月コアCPI 0.1%(予想0.2%) 2.2%(予想2.3%)
8月コアCPI 0.1%(予想0.2%)  2.2%(予想2.4%)

インフレは金利への影響も大きいので、今後の金融政策を予測するにも参考になる指標ですが、結果がやや予想よりも低くなっている点が懸念されます。

ISM製造業景況指数

全米供給管理協会(ISM)が実施した50州20業種400企業以上の購買担当役員へのアンケート結果になります。アメリカの景気を測るうえでとても信頼できる指標です。50%が景気拡大または景気後退の分岐点となります。毎月第1営業日に発表されます。

2018年の直近の結果について以下の通りです。

  • 11月:59.3%(予想57.6%)
  • 10月:57.7%(予想59.0%)
  • 9月:59.8%(予想60.1%)
  • 8月:61.3%(予想57.6%)

予想を下回る月があるものの、軒並み高水準で推移していることがわかります。同様に非製造業の購買担当役員へのアンケート結果が第3営業日に「ISM非製造業景況指数」として発表されます。景気後退がささやかれる中、2019年にどう推移していくのか、引き続き注目していく必要があるでしょう。

他にも「小売売上高」や「住宅着工件数」、「鉱工業生産」などの重要指標がありますので、2019年の中で引き続きご紹介していきます。