為替ニュース一覧


10月30日から11月3日の為替ニュースについてまとめています。

FRB後任人事について


トランプ大統領は2日、次期FRB議長としてパウエル氏を指名すると正式に発表しました。

上院で承認を経て来年2月にFRB議長に就任する見通しとなっており、同氏がFRB議長に就任した場合、エコノミスト以外のFRB議長就任は約40年振りとなります。同氏はホワイトハウスで声明を読み上げ、「物価安定と雇用最大化の達成へ全力を尽くす」と決意を表明しました。

トランプ大統領は同氏を起用した理由として「ジェイ(パウエル氏の愛称)はビジネス界での経験があり、何が経済に必要かを理解している」とした上で「経済を導く見識と統率力を持っている」と強調しました。イエレン氏の穏健な低金利路線を継承し得る点もパウエル氏を起用する決め手となったと考えられています。

トランプ大統領は低金利政策に肯定的な発言を繰り返していたため、市場ではハト派候補の指名が有力とされており、予想通りの結果となったことから市場への影響はほとんどありませんでした。

英中銀政策金利について


英中銀は2日、政策金利を0.25%から0.50%に引き上げました。

カーニー総裁の「今後3年間で2回の追加利上げが必要になる見通し」との発言を受けて、市場では目先の追加利上げは遠のいたとの見方が強まり、ポンドドルは1.32台から1.30台まで、ポンド円は151円台から148円台まで大幅に下落しました。

市場では追加利上げ時期が見通せない状況となっていたため、英中銀の利上げ発表による反応は大きくなったと考えられています。

税制改革案について


30日のニューヨーク市場では、法人税率の引き下げに関して米下院で5年間の段階的な導入が検討されているという報道を受けて、ドルは日中安値を付け、ドル円は113円割れまで下落しました。

報道についてサンダース大統領報道官は「段階的導入を検討している」との報道に対して、トランプ大統領の計画の中に法人税率引き下げに関する案は含まれていないと発言していましたが、2日に米下院共和党が公表した税制改革案の概要で、法人税率を20パーセントに引き下げることや住宅ローンの減税適用範囲が夫婦世帯で上限100万ドルから50万ドルへ引き下げを提案した点、大学基金に1.4%の新税を導入することを提案していることが明らかになったことを嫌気して市場ではドル売りが強まる展開となりました。

FOMC声明(10月31日・1日開催分)について

FRBは現地時間の10月31日から2日間の日程でFOMCを開催し、政策金利を据え置くことを決定しました。
政策金利の据え置きは市場の予想通りで、ニューヨーク市場ではドルが上昇し、ユーロドルは1.16台前半での推移となりました。

また景気の現状認識に関して、今回発表された声明文では「経済はハリケーンによる混乱にも関わらず着実に拡大した」とし、経済活動の表現を9月の「緩やかに拡大を続けた」から上方修正しました。

景気判断の上方修正以外は内容にほぼ変化はなく、市場は景気判断の上方修正について、12月の利上げを示唆していると捉えたとみられています。

FОМC声明(9月19日・20日開催分)

●ハリケーンの被害を受けたにも関わらず、経済活動が堅調なペースで拡大を続けている

●ハリケーンの影響によりガソリン価格が上昇し、9月の全体のインフレ率を押し上げた

●前年同月比でみるとインフレ率は今年低下し、2%を下回っている

●ハリケーンが中期的に米経済の方向を大きく変える可能性は低い

●短期的な経済見通しのリスクは概ね均衡している

●2017年10月に開始されたバランスシートの正常化計画は継続している

●反対者なしの全会一致で決定

米)10月雇用統計について

日本時間11月3日21時30分に米)10月雇用統計が発表されました。

米)10月非農業部門雇用統計

●米)10月非農業部門雇用者数

前回-3.3万人(改訂+1.8万人) 予想+31.2万人 結果+26.1万人

●米)10月失業率

前回4.2% 予想4.2% 結果4.1%

●米)10月平均時給(前月比)

前回+0.5% 予想+0.2% 結果0.0%

非農業部門雇用者数が予想の+31.3万人を下回る+26.1万人と弱い結果となったことを受けてドル売りが強まりドル円は114.11円から113.50台まで下落、ユーロドルは1.1645ドルから1.1690付近まで上昇しました。

しかし前月分の非農業部門雇用者数が-3.3万人から+1.8万人へ上方修正されたことや、失業率が4.1%へ低下したことから米雇用情勢に大きな変化はないとの見方を裏付ける結果となり、ドル円は114.40台まで上昇、ユーロドルは1.1600まで下落しました。

今回の雇用統計では米経済の堅調さを否定するだけの材料はなく、今年3回目となる利上げを後押しするとみられています。