イギリスがTPPへの参加を検討 その目的は
英紙フィナンシャル・タイムズは2日、2019年3月にEUからの離脱が決定しているイギリスが環太平洋連携協定(TPP)への参加を検討していると報道しました。
イギリスがTPPに参加する目的はEU離脱後に孤立状態になるのを避けるためで、メイ政権は多くの国と自由貿易(FTA)を結ぶ関係を示しており、TPP参加もその一環だとされています。
イギリスはEUの規約に基づいて2019年3月のEU離脱までは新しい貿易協定の合意をすることは出来ませんが、交渉は可能な様です。
イギリス 太平洋に面していない問題
TPPはご存知の通りTrans-Pacific Partnershipの略称で、日本語に訳すと「環太平洋連携協定」となります。
イギリスは太平洋からかなり離れた場所に位置していますが、問題ないのでしょうか?
この件についてハンズ通商政策担当閣外相は、「多国間協定に、地理的な制約は必要ない」との見解を述べています。
また、例え地理的な制約があった場合でも南太平洋上にイギリス領のピトケアン諸島が存在していることから、理論上「太平洋に面している」と主張することは可能だと見られています。
アメリカ離脱後 TPP交渉の現状
アメリカ離脱後のTPP交渉の現状ですが、昨年11月11日に茂木茂木敏充経済再生担当相とベトナムのアイン商工相がベトナム・ダナンでの記者会見で、アメリカを除いた11ヶ国によるTPP交渉の大筋合意を発表しました。
新協定では関税の撤廃や削減の規定は変更せず、著作権等の保護期間に関する項目や医薬品のデータ保護期間に関する項目などを含む20項目をアメリカが復帰するまで凍結することになっており、6ヶ国の国内承認完了から60日後に発効するとのことです。
国内総生産(GDP)は下記のTPP参加国合計で約14%と、アメリカが参加していた頃と比較するとインパクトはかなり低下しますがTPPが発効されれば自由な貿易な貿易により経済発展を促すことが出来ると考えられています。
●アジア
日本、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ブルネイ
●オセアニア
オーストラリア、ニュージーランド
●アメリカ大陸
カナダ、チリ、メキシコ、ペルー
茂木氏は「米国や他のアジア太平洋諸国地域への積極的なメッセージになった」と強調した上で、大筋合意がアメリカを呼び戻すきっかけとなることを期待していると述べました。
また同氏は会見で、イギリスを含むTPPへの参加を検討している国々について「そういった国、地域に対し必要な情報提供などは行っていきたいが、まずはTPP11の早期の署名、発効を実現することが第一で、そのうえで新たな参加国については検討していきたい」と早期発効への意気込みを語りました。
イギリスが参加するとTPPはどうなる?
GDP世界第5位のイギリスがTPPに参加するとなればTPP参加を検討する国々が増加していって、TPPが大きな経済圏へと成長する可能性が考えられます。
TPPを離脱したアメリカについても、日本とEPA(経済連携協定)を結んでいるオーストラリアの牛肉の関税が下がり今後さらに日本でオーストラリア産の牛肉が売れる様になるとの見通しにより、アメリカの農家がオーストラリアに先を越されると悲鳴を上げているという声があることから、イギリスの参加によりTPPが大きな経済圏に成長すれば、トランプ政権後にアメリカの復帰も望めるかもしれません。
ただしイギリスが参加することで現在の加盟国との新たに交渉が必要になることでTPPの発効が遅れたり、EUからの反発を受ける可能性もありますので、イギリスがEU離脱後にTPPに参加することになれば対策を考える必要があります。
今回のまとめ
EU離脱やTPPへの参加検討など話題が尽きないイギリスですが、今後の動向に注目したいと思います。