日本だけでなくEUにも規制が入った

EUにおけるFXの規制

FX(外国為替証拠金取引)は、少ない資金にレバレッジを効かせて大きな取引ができる点が魅力になっていますが、日本では最大で25倍に規制されています。

しかし、日本人であっても、海外のFX業者を活用することで、数百倍のレバレッジを効かせて取引することは可能です。以前は、トルコ南の地中海に浮かぶ島国、キプロス共和国に拠点を持つFX業者などがそこに該当していました。

しかし、フランスのパリに本部を置く、EUの専門機関・欧州証券市場監督局(ESMA)が、2018年8月から「欧州ESMA規制」を完全実施することになり、キプロス共和国をはじめ、EU経済圏に拠点を持つFX業者はこれまで提供していたサービスの変更を余儀なくさせられています。

キプロス共和国に本社や営業拠点を持つ「XM」(Trading Point Holding Ltd)も、欧州ESMA規制の影響を受けることになります。XMは、キプロスCySECライセンスの他、英国FCAライセンス、オーストラリアASICライセンスなど10カ国以上の金融ライセンスを所有する大手のFX業者であり、日本人トレーダーからも大きな支持を受けていました。

はたして、欧州ESMA規制の内容とはどのようなものだったのでしょうか?

そして、その規制は日本人トレーダーにどのような影響を与えたのでしょうか?

日本との格差がほとんどない状態

欧州ESMA規制のひとつが、「レバレッジ規制」です。これまでは3,000倍という超超ハイレバレッジを提供していたFX業者もありましたが、メジャー通貨に関しては「最大30倍」、マイナー通貨に関しては「最大20倍」まで大幅に下げることになってしまいました。

また、ボーナスやキャンペーンといった「インセンティブ禁止」ということになり、口座開設のキャッシュバックや、入金額に応じたボーナスなども廃止せざるを得なくなりました。

ゼロカットはそのまま採用されますが、強制ロスカットのラインは上げられ、一律「証拠金維持率50%」という規定になったのです。

これによって、日本国内のFX業者と、EU経済圏のFX業者の格差がほとんどない状態になりました。ゼロカットや、NDD方式(ノーディーリングデスク)による約定率の高さや透明性というメリットはあっても、スプレッドの広さや出金の手間暇などを考慮すると、日本人トレーダーにとってあまり魅力を感じなくなってしまいます。

この欧州ESMA規制の導入によって、EUやEEA加盟国外に別会社を設立して対応しようとしたものの、ユーザーにまったく連絡できずに混乱に拍車をかけてしまったFX業者や、日本人トレーダーへのサービスを停止したFX業者などのトラブルも多数発生しています。

よほど事前から用意周到に準備を進めていかなければ、欧州ESMA規制には的確な対応は取れなかったということです。XMはここでかなり大胆な対応をとっています。

欧州ESMA規制に対するXM(XMTrading)の対応策

事前に対応策を着々と準備していた

XMは欧州ESMA規制に対して、セーシェルFSAラインセンスを所得し、アフリカのセーシェル諸島ヘマ島に別会社を設立します。こちらが、セーシェル金融庁管轄になる「XM」(XMTrading)(Trading Point (Seychelles)Limited)です。同じXMグループではありますが、欧州ESMA規制は適用外になるためサービス内容が異なります。

XMはこちらに日本語ウェブサイトを開設し、日本人トレーダーの誘導を進めていきます。当初は、キプロスのウェブサイトから日本語が消えたことで多くの憶測を呼ぶことになり、不安を感じる日本人トレーダーも多かったのですが、実際に欧州ESMA規制が開始されると、XMの先見の明に感心させられます。

日本人トレーダーは、XM(XMTrading)に口座を開設することによって、これまでXMが提供してきた超ハイレバレッジやインセンティブの恩恵を受け続けることができるわけです。

つまりXMといってもあくまでも商標であり、実際には複数の会社があって、トレーダーの居住地域別にサービスの内容を変えて対応しているということになります。

その中で日本語サポートをしているのは、XMTradingのみです。欧州ESMA規制で廃止になった、口座開設のボーナス、入金額に応じたボーナス、取引量に応じたボーナスを受けることができますし、強制ロスカットのラインも20%とかなり低く設定されています。マイクロ口座やスタンダード口座では超ハイレバレッジの888倍の設定が可能ですし、スプレッドが狭いXM Zero口座でも500倍の超ハイレバレッジを効かせることができます。

こうしてXMは、FX市場で個人投資家として最もシェアを占めている日本人トレーダーの期待に応え続けることができるようになったわけです。海外のFX会社で日本人トレーダーから最も人気であることも納得できます。

ライセンスと信託保全がこれまでと異なる点について

XMTradingは運営会社が別なので、所有するライセンスが異なります。キプロスCySECライセンスや英国FCAライセンスなどは所有していません。セーシェルFSAラインセンスのみです。

この点については不安に感じる必要はないでしょう。これはXMグループが多くのライセンスを所得していることからも信頼できます。

海外のFX業者にはこのような金融ライセンスを所有せずに運営しているケースもあり、出金拒否などのトラブルもあり悪質ですが、XMTradingはセーシェルFSAラインセンスを所有しており、XMグループですから安心です。

なお、キプロスCySECライセンスでは、投資家補償基金(ICF)の加入が義務付けられていますので、XMが破綻した場合、最大で2万ユーロまで補償されることになります。XMTradingはセーシェルFSAラインセンスのため、ICFの加入は義務付けられていません。

信託保全については、XM自体は英国のバークレイ銀行で分別保全しており、顧客への補償に充てられます。さらにXMTradingは、アメリカンインターナショナルグループ(AIG)保険に加入しており、全体で100万ドルまで補償される態勢が整っています。つまり、二重の安心システムになっているということです。

セーシェルというあまり聞きなれない国に所属しているXMTradingですが、そこにオフィスを構えたのには相応の理由があり、そして、セーシェル金融庁管轄だからこそ日本人トレーダーはXMの充実したサービスを受けることができると言えるでしょう。