日本におけるFXのレバレッジ規制
FX（外国為替証拠金取引）の魅力は、少ない資金で大きな金額の取引ができる点です。これをレバレッジといいますが、日本でも金融庁の規制が入る以前は400倍や500倍といった超ハイレバレッジでの取引が可能でした。
2010年には信託保全の義務化と同時に、最大レバレッジは50倍となります。さらに翌年には25倍まで引き下げられました。レバレッジが引き下げられるということは、その分だけFX取引をするための証拠金が必要になります。
こうして国内のFXからは、少ない資金で大きな金額の取引ができるというメリットが失われていったのです。2018年からはさらにレバレッジを引き下げて10倍となる可能性が浮上しています。2019年に入ってからも有識者会議などで話し合われていくことになるでしょうが、仮にレバレッジ10倍となった場合には具体的にどのように変わるのでしょうか？
米ドル／日本円（USD／JPY）を例に考えてみましょう。1米ドル110円だとすると、1万通貨扱うのに110万円の証拠金が必要です。これがレバレッジ1倍となります。レバレッジ25倍であれば、44,000円で1万通貨の取引が可能です。10万円の資金があれば、2Lotのポジションは保有できるわけです。
しかし、レバレッジが10倍になると、1万通貨の必要証拠金が11万円となります。10万円の資金では2Lotはおろか、1Lotのポジションも保有できなくなります。もちろん11万
円あれば取引できるというものではありません。余剰金がまったくない状態で取引を始めると、相場が逆に動いた時点で証拠金維持率が100％を割ってしまって、あっという間に強制ロスカットになってしまうからです。
つまりレバレッジが引き下げられるということは、今まで以上に資金が必要になってくるということです。
2011年に国内のレバレッジが25倍に規制された際には、多くの投資家の資金が海外のFX業者に流出しました。海外のFX業者は日本金融局（JFSA）の監視下にないため、以前の日本のような超ハイレバレッジでの取引が可能だからです。
XM（XMTrading）の口座別の最大レバレッジ
海外FX業者で人気のある「XM」といえば「レバレッジ888倍」で有名ですが、口座の種類や証拠金によってやや異なるので注意が必要になります。
国内のFX業者ではレバレッジ25倍で固定しているケースもありますが、XMのレバレッジは1倍～888倍まで選択することができます。絶対に888倍で取引しなければならないというわけではありません。
XMには口座が「マイクロ口座」、「スタンダード口座」、「XM Zero口座」と3種類あります。この中で、マイクロ口座とスタンダード口座のレバレッジは最大888倍です。XM Zero口座は最大で500倍となっています。つまり888倍の超超ハイレバレッジで取引したいのであれば、マイクロ口座かスタンダード口座の開設が必要ということになります。
さらに注意が必要なのは、20,000ドルまでの証拠金であれば、この最大レバレッジを活用できるのですが、20,000ドルを突破してしまうとレバレッジに制限がかかるという点です。20,001ドル～100,000ドルの証拠金の場合、最大のレバレッジは200倍に変更となります。必要証拠金もレバレッジが下がった分だけ必要になりますので、保有するポジションの量はコントロールする必要があるでしょう。
ちなみに100,001ドル以上の証拠金となった場合は、レバレッジは最大で100倍となります。日本円で1千万円以上になるようでしたら、利益確定して出金して証拠金を調整しなければなりません。XMでは個人で8つの口座を開設できますが、あくまでもトータルの証拠金になりますので、XMでの口座間で証拠金を移しても意味はありません。
さて、それではレバレッジ888倍だとどのようなことになるのでしょうか？
米ドル／日本円（USD／JPY）を例に考えてみましょう。1米ドル110円だとしてレバレッジ25倍だと必要証拠金は44,000円でしたが、レバレッジ888倍だとなんと必要証拠金は1,239円です。わずか1,239円で1万通貨の取引ができ、1円変動すれば1万円の利益を出すことができるのです。
資金が少ない中で大きな利益を出したいトレーダーにとっては、とても魅力的な仕組みになっています。
超超レバレッジをいかに有効に活用していくべきか
国内ではレバレッジ25倍ですらハイレバレッジ扱いですから、これが888倍となると桁違いになります。問題は、リターンが大きくなるものの、リスクも高くなるという点でしょう。
ここでポイントになるのが「実効レバレッジ」です。
確かに1万通貨を1,239円で取引できますが、例えば13万円の資金をすべて費やして10Lotのポジションを保有したのでは、あっという間に強制ロスカットになってしまいます。相場が予想の逆に1円動いたら10万円の損失ですから、証拠金は3万円となります。XMの強制ロスカットは証拠金維持率20％を割り込んだら発生しますのでギリギリの状態です。
ですから出来る限り多くのポジションを保有するという手法をやめ、余剰金に余裕を持たせるようにするのです。10万円の資金があったとして、証拠金として口座には入金するものの、1Lotだけポジションを保有するわけです。レバレッジ888倍だと1,239円で1Lot保有できますので9万円以上の余剰金となります。この場合の「実効レバレッジ」は11倍です。これだと例え7円、8円変動しても含み損に耐えることができます。
これが国内だとレバレッジ25倍が限界なので、1Lotで必要証拠金が44,000円です。10万円の証拠金で1Lotのポジションを保有すると、余剰金は56,000円となります。実効レバレッジ自体は11倍ですが、表面的なレバレッジが先ほどよりも低いので、より多くの証拠金が必要となり、こうなると7円、8円の変動には耐えることができません。
要するに、超超ハイレバレッジは、多くのポジションを保有すると危険です。XMはゼロカットを採用しているので、証拠金がマイナスになって追証が発生することはありませんが、資金が底を尽いてしまいます。しかし、逆にポジションの量を限定することで、とても効果的に利益を出すことができるのです。
888倍の超超ハイレバレッジであっても「リスクマネジメント」が最も重要であり、それができれば必要以上に怖れる必要はないでしょう。国内での取引以上に少ない資金で、多くの利益を出すことが可能になります。
