両建てのメリットとは?
FX(外国為替証拠金取引)では、「上がるだろうと思って買ったら下がる」、「もう上がらないだろうと思って売ったら下がる」という残念なケースがよくあります。これはベテラントレーダーにも該当することです。為替変動を常に正確に見抜くことは、誰にもできないのです。
ボラティリティが高くなる重要指標発表後は大きく利益を伸ばすチャンスですが、こちらも上昇トレンドになるのか、下落トレンドになるのかは発表されてみないとわかりません。
効率的に損失を抑えて、利益を増やすことはできないのでしょうか?
そこで登場する手法が「両建て」です。
例えばアメリカの雇用統計発表前に、米ドル/日本円(USD/JPY)のロングポジションを保有したとします。もし、発表結果が事前予想を大幅に下回るネガティブサプライズであれば、下落トレンドが発生し、大きな損失が出てしまいます。ですから、ロングポジションと同じ量のショートポジションも同時に保有しておくのです。これが両建てです。
こうしておけばどちらに為替相場が動いても対応ができます。大きく伸びる方のポジションを保有し続け、逆のポジションはエグジットしてしまえばいいのです。
FXで勝つための鉄則は「損小利大」ですから、まさに理想的な取引手法といえます。
これは「含み損を膨らませない」ためにも利用できます。ロングポジションの場合、為替レートが下落していくと含み損がどんどん膨らんでいきますが、両建てしておくとショートポジションで利益を出せるので、含み損は変わらず、証拠金維持率をキープすることができます。
含み損が膨らみ、証拠金維持率が低下すると強制ロスカットという最悪な事態に陥ってしまいますので、それを回避することもできるのです。
ですから、様々なFXセミナーやFXに関するサイトでは、両建てを推奨し、絶大な利益を出していることをアピールしているわけです。
XM(XMTrading)では同一口座での両建ては可能
FXの取引業者では両建てを禁止しているケースもあります。不正取引として発覚した場合、出金拒否になったり、口座凍結になることもありますので、両建てをする場合は、事前に確認しておく必要があるでしょう。
海外FX業者の中でも圧倒的な人気を誇る「XM」では、両建てが可能になっています。500倍を超える超ハイレバレッジで両建てができるのですから、大きなリターンが期待できます。
ただし、XMでも両建てに関しては細かいルールがあり、これに違反すると不正取引と見なされてしまいますので注意してください。
ひとつは、あくまでも「同一口座での両建て」が可能だということです。XMでは個人で8つまでFX口座を開設することができますが、口座を分けての両建ては禁止になっています。
また、両建ての際に気になるのが「スワップ金利」です。ちなみにどの通貨ペアで両建てしてもスワップ金利はマイナスの方が大きく設定されています。ですから長期間ポジションを持ち続ければ持ち続けるほど、スワップ金利の損失は大きくなります。
しかし、スワップ金利の設定はFX業者によって異なりますので、通貨ペアによっては、XMでロングポジションを持ち、他のFX業者でショートポジションを持つとスワップ金利がプラスになることもあります。これは「他業者との両建て」ということになり不正行為です。
個人でやると発覚するので、グループ内でロングポジションの係りとショートポジションの係りを決めて両建てして利益を出す手法もありますが、こちらも不正行為となっています。
他にも、ひとつの通貨をヘッジするために他の通貨ペアで両建てするのも禁止されていますし、土日に発生するサプライズに期待して両建てし、月曜に伸びた方のポジションだけを保有し続けるといった手法も禁止されています。
ばれるはずがないと思っていても、トレードの内容についてはかなり厳重に監視され、分析されています。出金拒否や口座凍結になってからでは遅いので、ルールについてはしっかり守るようにすべきです。両建てをするのであれば、ルールに従って行っていくようにしてください。
両建てのデメリットとは?
ちなみに両建てすれば必ず勝てるというわけではありません。
どこでエグジットするのかタイミングが難しくなります。上昇トレンドが発生したと思って、ショートポジションをエグジット、ロングポジションだけに切り替えたら、実はダマシで、すぐに反転して下落トレンドになってしまう。こうなるとダブルで損失が発生します。
また重要な経済指標の発表直後はスプレッドが大きく広がりますので、エグジットしにくくなります。ボラティリティが高いのでついつい利益確定から優先しまいがちで、気が付くと含み損の方が大きくなってしまう場合もあります。
かなり繊細なバランス感覚が問われるので、実は両建てはとても難しい手法なのです。上級者用のトレードだといえるでしょう。
しかも、XMでは両建てすると、「必要証拠金がゼロ」になります。その分だけ、他の通貨ペアのポジションを保有する余裕ができるので喜ばしいことですが、注意が必要です。両建てしている状態で、片方のポジションをエグジットすると、途端に必要証拠金が発生することになるからです。証拠金維持率の管理ができていないと大変なことになります。
XMの強制ロスカットラインは、証拠金維持率20%ですから、一気に割り込んでしまう危険性があるのです。しっかりと計算をして、計画的にトレードしてください。
超ハイレバレッジだから少ない資金でたくさんのポジションを保有するのではなく、あくまでもリスクマネジメントを行い、適正なポジションを保有し、余剰金には余裕がある状態を維持していくことが重要です。
確かに有効な手法である両建てですが、FXには絶対に勝てる手法など存在しません。
「絶対に勝てる」、「誰でもすぐに利益が出せる」といった誇大広告に惑わされず、両建てで利益を出す手法よりも、まずはリスクリワード・レシオを設定し、「しっかり損切りを行い」、「目標に沿ったトレードで成果を出す」ことが先決になってくるでしょう。