黄金比を導き出すフィボナッチ数列

人が美しいと感じられるバランスは、「黄金比」に該当するケースが多いといわれています。これは横と縦の比率がおよそ「1:1.61803」です。ギリシャのパルテノン神殿も、エジプトのピラミッドもこの比率で建造されています。

13世紀のイタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチが考え出した数列を「フィボナッチ数列」と呼びますが、ここに登場する前後の2つの数の比率が黄金比にとても近いのです。

1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233・・・

フィボナッチ数列は前の2数の和に等しくなっています。ここに登場する2数の比率をテクニカル分析に活用するのが、「フィボナッチリトレースメント」です。

比率としてよく用いられるのは、55÷89のように前の数を後ろの数で割った「0.618」と、34÷89のように2つ前の数を後ろの数で割った「0.382」、1÷2のように2項目を3項目で割った「0.500」です。また、55÷233のように3つ前の数を割って求めた0.7639を、さらに1から引いた「0.2361」も注目されます。

それぞれ百分率で表すと、「61.8%」、「38.2%」、「50.0%」、「23.6%」となります。

フィボナッチ数列は自然界にも登場します。ひまわりの花の中の種はらせん状を描いて並んでいますが、それが21、34、55といった半径なのです。これはオウム貝のうず巻きも同様です。

とても不思議な話ですが、このフィボナッチの比率は、自然と為替相場の変動にも反映されると考えられているのです。投資家たちの集団心理を投影すると、とても芸術的なチャートを創りあげるということです。

フィボナッチリトレースメントの活用方法

それではこのフィボナッチの比率をどのようにFX(外国為替証拠金取引)のテクニカル分析に活用していくのでしょうか?

活用するのは「トレンド」が発生しているタイミングになります。

例えば上昇トレンドの最中でも、反発して戻されることがあります。価格が下落してトレンドが終わったかに思わせますが、そこからまた強い上昇トレンドが発生するのです。

この「どれくらい戻されるのか」という予測に、フィボナッチ比率が活用されます。それが「フィボナッチリトレースメント」です。

上昇した分を100%とした場合、強いトレンドが発生しているのであれば、38.2%戻し売りされると考えます。つまり38.2%下げたら、そこからまた上昇トレンドの流れになるということです。

比較的弱いトレンドであれば、61.8%の戻し売りされると考えます。かなり強い反発ですが、ここで下げ止まって再び上昇し始めるのです。

これは下落トレンドでも同様です。強いトレンドであれば38.2%の押し目買いで上げ止まり、弱いトレンドであれば61.8%の押し目買いで上げ止まりです。目安としては50%も節目として意識されるので、注意してください。

これはあくまでもトレンドが発生している中での話になりますので、トレンドが反転したら別です。転換点を迎えたら、その後はフィボナッチ比率に左右されず上昇または下落を続けていくことになります。

ここの見極めは重要です。フィボナッチリトレースメントが適用される流れであるならば、ポジションを保有し続け、さらにトレンドが強まるのを待つことになりますし、トレンドが反転してしまったのならば早めに利益確定する必要があるでしょう。

38.2%以上戻されたら利益確定してしまうのか、そのラインを50%まで下げるのか、61.8%まで戻すのかという判断を迫られるのです。少なくとも61.8%以上戻されたら、トレンドは反転したと判断して利益確定してしまった方がいいかもしれません。

2018年から2019年にかけての米ドル/日本円(USD/JPY)で確認

実際に2018年から2019年にかけての米ドル/日本円(USD/JPY)の日足チャートで確認してみましょう。

直近の値動きとしては、2018年12月13日から12月下旬に注目してみます。日足チャートでは12月13日が陽線ですが、以降8本の陰線が続いています。1本の陽線を挟んで、さらに2019年まで陰線が続いている状態です。完全に下落トレンドで、2019年の1月3日には一時1米ドル105円を割っています。

間に入ってくる1本の陽線が押し目買いの戻しになりますが、はたしてフィボナッチリトレースメントは有効だったのでしょうか?

ローソク足の柱(胴)だけで計算するのか、ヒゲも含めて計算するのかで結果はやや異なります。今回はヒゲも込みで戻りの比率を計算してみます。

12月13日は1米ドル113円65銭ほどです。ここから12月25日にかけて109円96銭まで下落しました。そして12月26日、押し目買いで陽線となります。ここで111円40銭まで上昇しました。しかし翌日からはさらに強い下落トレンドとなっています。

仮に61.8%まで戻されると、12月26日は112円24銭まで上昇していたはずです。ここをブレークしていれば下落トレンドは終了し、上昇トレンドに転換したと判断してもよかったかもしれません。

38.2%まで戻されると、12月26日は111円37銭まで上昇します。実際の価格はちょうどこの辺りで上昇が止まっています。そして翌日には再び陰線となります。つまり、フィボナッチリトレースメントで、38.2%で上げ止まったわけです。

それではこの先はどうなるでしょうか?

1月3日の早朝には暴落し、104円43銭をつけています。12月26日の111円40銭からはおよそ7円下落していますが、正月休みで取引量が閑散とする中で、投機筋のストップロス狩りの要素も絡んでいます。ですからそのままフィボナッチリトレースメントが当てはまる状態ではありませんが、仮に61.8%押し目買いとなれば108円74銭です。38.2%で107円9銭、50%だと107円92銭となります。

現在日本時間で11時55分ですが、107円15銭ほどです。一時は107円87銭まで押し目買いが進みました。フィボナッチリトレースメントだと50%のラインで上げ止まったことになります。状況としては再び下落トレンドが続行しています。

もちろんテクニカル的な要素だけでなく、アメリカ政府機関の一部閉鎖が続いている状態や、ユーロの暴落、米中貿易摩擦への嫌気などファンダメンタルズ要素も大きな影響を与えていますので、今後の市場の動向を予測するうえで、情報にも敏感になる必要があるでしょう。