各国の仮想通貨に対する見解・規制事情


仮想通貨に対する各国の見解・規制事情をまとめました。

仮想通貨に対する中国の見解

中国は昨年ICOを廃止したり仮想通貨取引所を閉鎖するなど仮想通貨を規制してきましたが、次の規制強化策として集中型取引を可能にするインターネット経由のプラットフォームとモバイルアプリへの国内からのアクセスを禁止する計画を立てていることが分かりました。

集中型取引のマーケットメークや決済サービスを提供する個人と企業を取り締まりの対象とし、ピアツーピア取引(個人間で行われる小規模取引)は対象とはならないとのことです。

仮想通貨に対する韓国の見解

韓国金融委員会の崔鍾球(チェ・ジョング)委員長は現地時間の1月18日、韓国国内にある全ての仮想通貨取引所の閉鎖を検討していることを明らかにしました。同氏は国家政策委員会において「政府が国内のすべての仮想通貨取引所、または法に違反している仮想通貨取引所の閉鎖を検討している」と発言しました。

また韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は別の会見で「仮想通貨は法定通貨ではない。現時点では韓国で法定通貨として扱われていない」と述べました。

韓国は仮想通貨取引の規制を進めていると見られますが、李総裁は中銀が将来的に仮想通貨を発行する可能性があることから、仮想通貨について長期的な観点で調査を開始したことを明らかにしています。

仮想通貨に対するマレーシアの見解

2013年に創設されたロンドンに拠点を置く仮想通貨取引所である「ルノ」の取引用銀行口座が、マレーシア税務当局によって凍結されたことが分かりました。
「ルノ」は現在マレーシア内国歳入庁(IRB)から、マレーシアの顧客に関する身元確認や預金・引き出し履歴、取引に関する情報の全てを提供するよう求められており、「ルノ」はこれに対してマレーシア中央銀行が公開した仮想通貨交換の要件に従うことを表明しています。

checkマレーシア中央銀行が公開した仮想通貨交換の要件とは
「ルノ」の口座開設先であるマレーシア中央銀行が発表した市民や企業のための仮想通貨規制のガイドラインのこと

仮想通貨に対するエジプトの見解

1月1日、エジプトのイスラム教最高指導者であるシャウキー・アラム師がビットコイン取引を禁止とする宗教令を出しました。
宗教令を出したのは、「ビットコイン取引は投機性が高くイスラム教で禁止されている賭博に類似していること」と、ビットコインがマネーロンダリングに利用され、テロの資金源となることを懸念していること」の2点が主な理由とされています。
またエジプト中央銀行は宗教令が出された8日後の1月9日に、仮想通貨の利用を警告する声明を発表しました。

仮想通貨に対するトルコの見解

昨年11月トルコ政府宗教局は仮想通貨について、マネーロンダリングなどの不正行為に利用されることや国家の監査下にないことなどを理由に「現時点ではイスラム法に適さない」との見解を発表しました。
さらに昨年12月にはシムシェキ副首相が「ビットコインの価格は過剰に上がっており、ある日突然崩壊する」と国民に仮想通貨の利用を控える様に警告するなど、トルコ政府のバブル崩壊に対する危機感の強さが示されています。

仮想通貨に対するインドネシアの見解

インドネシア中央銀行は1月13日、「インドネシア国内での仮想通貨取引は認めない」とする声明を発表しました。これは政府による正式発表ではありませんが、今後規制が強化されていく可能性が高いと見られています。

仮想通貨に対するイランの見解

1月11日イラン中央銀行のバリオラ・セイフ総裁は投資家には「もっと安全な選択肢がある」との見解から、「どうあってもビットコインを認めることはない」とイラン中央銀行は近々仮想通貨取引に関する方針を定める見通しとなっています。ただ、仮想通貨が規制されても規制をかいくぐるソフトの利用により実際の取引には影響しないのでは、との見方もある様です。

独)仮想通貨規制への国際的協力を求める

ドイツ連邦銀行のヨアヒム・ビュルメリング理事は1月15日、フランクフルトで開催されたイベントで、仮想通貨の規制には国際的な協力が不可欠であるとし、連携を呼びかけました。

現在各国がそれぞれの方法で仮想通貨の規制を試みていますが、同氏はこれに対して「国ごとの対応の効果は明らかに限定的である」との見解を示しています。

しかし日本と中国の様に仮想通貨に対する見方は国ごとに違うことから、各国が連携して仮想通貨の規制を進めるのは難しいとの意見も見られます。

仮想通貨規制による市場反応

ビットコインは昨年12月中旬に220万円を超えて高値を付けるなど急激に値上がりしていましたが、中国や韓国など仮想通貨取引に対する一連の規制報道を受けて、市場は今後各国で規制が強化されていくのではないかとの懸念が高まり、日本国内の大手取引所では17日、1ビットコインあたり約100万円になるなど暴落する場面が見られました。

規制強化による影響はビットコインだけでなくイーサリアムやビットコインキャッシュなど他の仮想通貨にも及んでいて、今後の仮想通貨の値動きに注目が集まっています。

日本の仮想通貨に対する見解

各国が仮想通貨に対する取り締まりを強化していますが、日本では改正資金決済法によって仮想通貨の法的な定義が明確化されたり、金融庁が仮想通貨取引所の登録制度を開始するなど仮想通貨取引に積極的な姿勢を示しています。

今回のまとめ

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様々な理由により各国で規制が強化されている仮想通貨の今後に注目です。